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「お母さん!
誰かに電話してみようか?
翔子姉ちゃんがいいかな?
それとも、芽衣子がいいかな?」
「もういいよ」
「もういいよって、どうしてさ?」
「もう、そういう時期は過ぎた」
「どうしてさ、めんどくさいの?」
「そ、もうめんどくさいの」
3月3日の夕飯が終わり
食堂に残った母とわたしの会話です。
1年1度の雛祭りの夜です。
わたしは
母の無聊を慰めたくて
「電話をかけてみようよ」と
勧めたのです。
だけど母は
「そ、もうめんどくさいの」
とそっけなく
か細い声で言って
断ったのです。
入院している母は1日中
ほとんど会話をしていません。
だからかどうか
最近の母は
めっきり口数が減りました。
自分からは
めったに話しかけて来ないし
こちらから話しかけても
単語のような答えしか返って来ません。
しかも、その声にも
力が入っていないのです。
そりゃあ、そうですよね。
わたしだって1日中
部屋にこもっていた時など
どこから声を出せばいいのか
分からなくて
声がかすれてしまう時が
あるんです。
可哀そうに母は
ほとんど口をきかないそんな日を
もう7、80日も過ごしているのです。
会話がめんどくさくなるのも当然だし
声がか細くなるのだって
当然なのです。
誰かに電話してみようか?
翔子姉ちゃんがいいかな?
それとも、芽衣子がいいかな?」
「もういいよ」
「もういいよって、どうしてさ?」
「もう、そういう時期は過ぎた」
「どうしてさ、めんどくさいの?」
「そ、もうめんどくさいの」
3月3日の夕飯が終わり
食堂に残った母とわたしの会話です。
1年1度の雛祭りの夜です。
わたしは
母の無聊を慰めたくて
「電話をかけてみようよ」と
勧めたのです。
だけど母は
「そ、もうめんどくさいの」
とそっけなく
か細い声で言って
断ったのです。
入院している母は1日中
ほとんど会話をしていません。
だからかどうか
最近の母は
めっきり口数が減りました。
自分からは
めったに話しかけて来ないし
こちらから話しかけても
単語のような答えしか返って来ません。
しかも、その声にも
力が入っていないのです。
そりゃあ、そうですよね。
わたしだって1日中
部屋にこもっていた時など
どこから声を出せばいいのか
分からなくて
声がかすれてしまう時が
あるんです。
可哀そうに母は
ほとんど口をきかないそんな日を
もう7、80日も過ごしているのです。
会話がめんどくさくなるのも当然だし
声がか細くなるのだって
当然なのです。
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入院が長引いているとは言え
母の食欲はばっちりです。
多少の発熱なんぞ
ものともせず
出されるキザミ食を
毎回完食しています。
母は同じ食堂で食べている
誰よりもずば抜けて高齢だけれど
誰よりも貪欲に食べています。
食欲こそ生き抜く力。
わたしはそれが嬉しくて
誇らしくて
食事の介助に行く度
教え子のみつえさんが送ってくれた
あんぽ柿を刻んで持って行ったり
冷凍してあったカステラを
持って行ったりするのです。
食事が到着するのが待ちきれない母は
食事前に
そのあんぽ柿やカステラも
毎回完食しているのです。
母の食欲はばっちりです。
多少の発熱なんぞ
ものともせず
出されるキザミ食を
毎回完食しています。
母は同じ食堂で食べている
誰よりもずば抜けて高齢だけれど
誰よりも貪欲に食べています。
食欲こそ生き抜く力。
わたしはそれが嬉しくて
誇らしくて
食事の介助に行く度
教え子のみつえさんが送ってくれた
あんぽ柿を刻んで持って行ったり
冷凍してあったカステラを
持って行ったりするのです。
食事が到着するのが待ちきれない母は
食事前に
そのあんぽ柿やカステラも
毎回完食しているのです。
母の入院生活も
5か月目に入りました。
最近の母は機嫌もいいし
食欲もあるのですが
数日置きに
37、8度の熱が
出たり引っ込んだりしています。
「原因がはっきりしないんですよ」
と、主治医は言いながら
「尿道炎か誤嚥が原因じゃあないか
と思うんです。
今は尿が出やすいように
バルーンの管を太いのに変えて
投薬もしています。
後は、誤嚥対策ですが
食事をキザミ食にして
とろみをつけています。
でも、食べた物が逆流すると
肺炎につながりますから
食事の後30分は
起きてるようにしてください」
と付け加えてくれました。
そんなわけでわたしは
食事の後、毎回
人影のなくなった食堂で
車椅子の母とふたり
シクラメンの花を見たり
桃の花を見たり
長い廊下を行ったり来たり
散歩をしてみたり
姉妹の誰彼に
電話をさせたりして
30分を有効活用しているのです。
5か月目に入りました。
最近の母は機嫌もいいし
食欲もあるのですが
数日置きに
37、8度の熱が
出たり引っ込んだりしています。
「原因がはっきりしないんですよ」
と、主治医は言いながら
「尿道炎か誤嚥が原因じゃあないか
と思うんです。
今は尿が出やすいように
バルーンの管を太いのに変えて
投薬もしています。
後は、誤嚥対策ですが
食事をキザミ食にして
とろみをつけています。
でも、食べた物が逆流すると
肺炎につながりますから
食事の後30分は
起きてるようにしてください」
と付け加えてくれました。
そんなわけでわたしは
食事の後、毎回
人影のなくなった食堂で
車椅子の母とふたり
シクラメンの花を見たり
桃の花を見たり
長い廊下を行ったり来たり
散歩をしてみたり
姉妹の誰彼に
電話をさせたりして
30分を有効活用しているのです。
ほんとに素敵!
いい笑顔でこっちが癒されるわ」
って、看護師さん達が
口々に言ってくれます。
「もう行っちゃうんですかって
言われちゃったよ」
って、主治医が
ニコニコ顔で言ってくれます。
「乙女さんに叱られちゃったわよ」
って、内科のひ孫のような女医さんが
親しげに言ってくれます。
熱が下がって
調子のいい時の母は今でも
むかしのような笑顔を
相手に向けます。
だから、病院の方々の
そんな言葉を聞くと
側にいるわたしは
ほんとにほっとするのです。
職業とは言え
年取った患者の治療や看護は大変。
たまには、怒鳴りたくなる時だって
無い筈が無いのです。
家庭のもめごとだって
患者にぶっつけたくなる時だって
有る筈なのです。
それなのに気持ちよく
『わたしの母』を看て頂けている。
本当に有難いことだと
わたしは感謝しているのです。