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『リクライニングチェア』から
ベッドに戻った母。
だけど
だからと言って
『寝たから楽』
と言うわけでは決してなく、母は
パジャマの胸元を
震える手で
いじろうとしてみたり
ズボンを
たくし上げようとしてみたり
起き上がらせてみたり
寝させてみたり
毛布や布団を
剥いだり被せたりさせてみたり
足や手を
さすらせてみたりしたのです。
だけど
様々やってはみても
それでもやっぱり母は
ただただあり苦しいのです。
そんな状態は、2日目3日目と
日に日に強くなって行き
母は
ベッドで昼夜を問わず
うつらうつらするだけで
熟睡できず
ただ鬱々と
眉間にしわを寄せて
過ごすことが多くなったのです。
それでも
「お母さんねえ!
お母さんの売りは
笑顔だからねえ。
ちょっとは笑って見せてよ!」
と、耳元で頼むと
健気な母は
眉間のしわを
ちょっとだけ伸ばし
薄く笑って見せるのでした。
ベッドに戻った母。
だけど
だからと言って
『寝たから楽』
と言うわけでは決してなく、母は
パジャマの胸元を
震える手で
いじろうとしてみたり
ズボンを
たくし上げようとしてみたり
起き上がらせてみたり
寝させてみたり
毛布や布団を
剥いだり被せたりさせてみたり
足や手を
さすらせてみたりしたのです。
だけど
様々やってはみても
それでもやっぱり母は
ただただあり苦しいのです。
そんな状態は、2日目3日目と
日に日に強くなって行き
母は
ベッドで昼夜を問わず
うつらうつらするだけで
熟睡できず
ただ鬱々と
眉間にしわを寄せて
過ごすことが多くなったのです。
それでも
「お母さんねえ!
お母さんの売りは
笑顔だからねえ。
ちょっとは笑って見せてよ!」
と、耳元で頼むと
健気な母は
眉間のしわを
ちょっとだけ伸ばし
薄く笑って見せるのでした。
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母が帰宅するのに合わせ
居間には
妹・芽衣子の提案で
急遽借り入れた
『電動式リクライニングチェア』を
用意していました。
だけど
これも母には合わず
無用の長物となりました。
もちろん
せっかく用意したのだからと
ベッドから母を運び出し
何度か
『チェア』に座らせました。
だけど、椅子を
倒そうと起こそうと
姿勢をどう変えようと
母は直ぐ「苦しい」と言って
顔を歪めるのでした。
円背が進み
腹筋背筋ともに
弱くなった母にとっては
起きていることがもう苦痛
やたら息苦しいのです。
居間には
妹・芽衣子の提案で
急遽借り入れた
『電動式リクライニングチェア』を
用意していました。
だけど
これも母には合わず
無用の長物となりました。
もちろん
せっかく用意したのだからと
ベッドから母を運び出し
何度か
『チェア』に座らせました。
だけど、椅子を
倒そうと起こそうと
姿勢をどう変えようと
母は直ぐ「苦しい」と言って
顔を歪めるのでした。
円背が進み
腹筋背筋ともに
弱くなった母にとっては
起きていることがもう苦痛
やたら息苦しいのです。
「何て古臭い部屋なの!」
これが
わが家に帰り着き
ベッドに横たわった母の
第一声でした。
明るく見晴らしのいい病室で
2か月過ごした母にとっては
何十年も暮らして来た
いつもの寝室はもう
ただの古臭いだけの部屋。
『やっと家に帰って来たのね!』
なんていう
こちらが期待しているような
感懐や安堵の言葉はもう
聞かれませんでした。
もちろん、今でも
何かしてやると
「ありがとう、ありがとう」
とは言ってくれるのだけれど
もう、入院前のような
こちらの動きを見ながら
気持ちを察して発言するような
そんな気働きの余裕はもう
母には無くなっていたのです。
これが
わが家に帰り着き
ベッドに横たわった母の
第一声でした。
明るく見晴らしのいい病室で
2か月過ごした母にとっては
何十年も暮らして来た
いつもの寝室はもう
ただの古臭いだけの部屋。
『やっと家に帰って来たのね!』
なんていう
こちらが期待しているような
感懐や安堵の言葉はもう
聞かれませんでした。
もちろん、今でも
何かしてやると
「ありがとう、ありがとう」
とは言ってくれるのだけれど
もう、入院前のような
こちらの動きを見ながら
気持ちを察して発言するような
そんな気働きの余裕はもう
母には無くなっていたのです。
息することすら
大変になって来ている母は
もう、心や言葉に
余裕が無くなっています。
誰が何をしているかなどには
お構いなしに
自分の思いを
そのままぶっつけて来るのです。
病院で母を
車に乗せた時のことです。
「早く出してちょうだい
寒いじゃない!
何で
いつまでも止まっているの!」
これが車に乗り移った母の
第一声でした。
車椅子の母を
必死の思いで車に乗せ換え
息を弾ませたままのわたしが
まだ荷物を
積み込んでいるのに
妻がまだ
車椅子を
返しに行っているのに
母は
そう言って急かしたのです。
若い時のわたしなら
『ぶっ!!」とふくれて
罵り返すようなことを
母は平気で言ったのです。
だけど、今の母には
返す言葉はありません。
『今、荷物積んでんでしょうが!!!』
の言葉をわたしは
それほど無理せず
ぐっと飲み込めたのです。
大変になって来ている母は
もう、心や言葉に
余裕が無くなっています。
誰が何をしているかなどには
お構いなしに
自分の思いを
そのままぶっつけて来るのです。
病院で母を
車に乗せた時のことです。
「早く出してちょうだい
寒いじゃない!
何で
いつまでも止まっているの!」
これが車に乗り移った母の
第一声でした。
車椅子の母を
必死の思いで車に乗せ換え
息を弾ませたままのわたしが
まだ荷物を
積み込んでいるのに
妻がまだ
車椅子を
返しに行っているのに
母は
そう言って急かしたのです。
若い時のわたしなら
『ぶっ!!」とふくれて
罵り返すようなことを
母は平気で言ったのです。
だけど、今の母には
返す言葉はありません。
『今、荷物積んでんでしょうが!!!』
の言葉をわたしは
それほど無理せず
ぐっと飲み込めたのです。
大変だったのは
わたし達もおんなじで
腰を痛めそうなことがやたら多く
やっぱり大変でした。
案の定
と、言ったらいいのでしょうが
元日の朝わたしは
母を抱き起した途端に
腰痛を起こしてしまい
2日は頓服を飲みながら1日中
寝込んでしまったのです。
しかもしかも
がっかりしたことに
母自身が
家に帰ったことに
感激した風が
まったく無かったのです。
連れ帰ったことがお互いに
良かったのか悪かったのか
わたし達の独り善がりで
ただ母を
疲れさせただけなんじゃあ
なかったのかと
ただわたし達が
疲れただけなんじゃあ
なかったのかと
判断出来ていないのが
ほんとの所です。
わたし達もおんなじで
腰を痛めそうなことがやたら多く
やっぱり大変でした。
案の定
と、言ったらいいのでしょうが
元日の朝わたしは
母を抱き起した途端に
腰痛を起こしてしまい
2日は頓服を飲みながら1日中
寝込んでしまったのです。
しかもしかも
がっかりしたことに
母自身が
家に帰ったことに
感激した風が
まったく無かったのです。
連れ帰ったことがお互いに
良かったのか悪かったのか
わたし達の独り善がりで
ただ母を
疲れさせただけなんじゃあ
なかったのかと
ただわたし達が
疲れただけなんじゃあ
なかったのかと
判断出来ていないのが
ほんとの所です。