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もう、すっかり春気分!!
皆さんお元気ですか?
わたしは元気。
友人・Nが見て来たと言うので
わたしも行って来ました。
山梨県北杜市武川町
実相寺境内の神代桜を見に。
実相寺の神代杉
根張りが尋常ではありません
樹齢2000年というけれど
ともかく根張りがすごい。
美しい花の一房一房に
知性を輝かせ
荒々しい幹に
ど根性、丸出し。
桜もいろいろ見てきたけれど
こんなのは初めて。
雪に折られ、風に折られ
雷に焼かれ・・・
それでも生き抜いて2000年。
風雪に耐え抜いた木って
ほんとに凄い。
長く生きるってことは
それだけで美しい。
こんな美しい木があるとは
本当に驚きです。
ここは
わたしが青春を謳歌した町。
御柱祭りで有名な諏訪大社や
諏訪湖の「浮城」・高島城
それに
日本一長い校歌で有名な
わたしの母校のある町。
ちょっと前のこと。
この青春の地を
母に見せたくて
ふたりで散策したのです。
散策と言っても
母はもう百歳間近。
足が弱くて
長歩きは出来ません。
だから
平地は
車椅子を使ってもらい
お城や神社の階段だけ
自力で
上がってもらいました。
車椅子は
当然わたしが押し歩き
階段では
それを持ち上げ持ち下し。
その上
母の手を取り上り下り
結局
付き添いのわたしは
どの階段も三往復。
そのお陰で
手摺にもいろいろあることが
よく分かりました。
諏訪大社上社の階段
諏訪湖高島城の階段
高すぎる物、低すぎる物
太すぎて手に余る物
細すぎて頼りない物
安心して母を託せる物は
意外に少ないのです。
折角設ける手摺です。
しっかりしていて
つかまり易い物が欲しい
と、つくづく
思ったものでした。
そして
できることなら・・・
付き添う者にも優しい設備が
欲しいと
心底思ったわたしでした。
こんなに心配し
注意もし
手立てもして来たのに・・・。
「ドスン!」
わたしが実家に帰っていた
ある夜中のことです。
母の部屋で
「ドスン」と大きな音がしました。
「すわ、一大事!」
飛び起きた
妻とわたしが飛んで行くと
ベッドの傍らに
母が両足を開いたまま
尻餅をついておりました。
母はといえば
何が起きたのか分らない様子で
ちょっと
ぼんやりしておりました。
母はトイレから戻り
ベッドに座るつもりが
外れてしまい
尻餅をついたのです。
外傷もなく
どこも痛くもないと言うので
先ずは一安心。
有り難いことに
翌朝も痛みは出ず
わたし達は
ほっと胸を撫で下ろしたのです。
それにしても
こんなことが起ころうとは!
これでまたわたしに
新しいテーマが出来ました。
安全に座れて
寝起きの邪魔にならない
手摺付きのベッド作り。
わたしは
また考えなければなりません。
母の為に頭を使うこと
それはそれで楽しく
嬉しいことなのだけれど
やっぱり頭の痛い
面倒くさいことなのです。
「明かりなんか
点けなくたって大丈夫
ちゃんと見えてるわよ。
つかまらなくたって大丈夫
これこの通り歩けるわ。
いちいち面倒なのよ
点けたりつかまったりって」
母がそう
頑固に言い張ります。
だけど・・・
わたしは
母のこの慢心が怖い。
いわれのない自信と
面倒くさがりが怖いのです。
母のベッドからトイレまで
手摺が連続して設けてあります。
もちろん
明かりだって設けてあります。
だけど
手摺があっても
つかまらなければ
何の役にも立たない。
明かりがあっても
点けなければ
何の役にも立たない。
母に慢心されたら終わり
面倒くさがられたら終わり。
打つ手が無いのです。
それでとうとう
わたしは
家中の明かりが夜中も
消えないようにしたのです。
母には
昼間のように明るい寝室で
寝てもらうことにしたのです。
多分母は眠りにくいだろう
と、思います。
「くだらない強制をして」
と、思っているだろうとも思います。
だけど、母は息子思い
文句は言いません。
「もう、明るいのにも慣れた」
って、言ってくれています。
「兄ちゃんに心配かけちゃあ
悪いからね」
って、言ってくれてもいます。
「あんたは心配性なんだから!」
姉妹たちは
他人事のように笑いますが
わたしは母に転ばれては困る
本当に困るのです。
「母を転ばせてなるものか!」
わたしは固く決心して
いるのです。
母が転んで
寝た切りになるなんて
考えただけでも嫌になります。
だからわたしは
家中に手摺を付けました。
だけど、これだけでは不充分
まだ、安心できません。
明治生まれの母は
無類の『もったいながり屋』
今時珍しい人種です。
うす暗がりを
明かりも点けず
部屋から部屋へ移動するのです。
「つまずいたら困るでしょ!
明かりを点けて歩いてよ」
わたしがそう言っても
「大丈夫、見えてるから」
と、そう言い張って
なかなか点けないのです。
それで
母とわたしは毎晩喧嘩です。
白内障の手術を済ませている
とは言え、寄る年波。
母にはっきり見えている
筈がないのです。
一番心配なのが
わたしの目の届かない
夜中のトイレ。
これが
ほんとうに頭痛の種です。
寝ぼけた頭で
ぼんやりした目で
明かりも点けないで行くトイレ。
わたしだって
寝ずの番は嫌だし
母にその気がなければ
手の打ちようがない。
どうしようもないのです。
「起きたら
ちゃんと明かりを点けてね!
転んだら寝た切りだからね!
立つ時はつかまって!
歩く時もつかまって!
つまずいたら寝たきりだよ!」
まるで子供扱い。
母には申し訳ないけれど
わたしは
叫び続けるしかないのです。