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「母を転ばせてなるものか!」
わたしは固く決心して
いるのです。
母が転んで
寝た切りになるなんて
考えただけでも嫌になります。
だからわたしは
家中に手摺を付けました。
だけど、これだけでは不充分
まだ、安心できません。
明治生まれの母は
無類の『もったいながり屋』
今時珍しい人種です。
うす暗がりを
明かりも点けず
部屋から部屋へ移動するのです。
「つまずいたら困るでしょ!
明かりを点けて歩いてよ」
わたしがそう言っても
「大丈夫、見えてるから」
と、そう言い張って
なかなか点けないのです。
それで
母とわたしは毎晩喧嘩です。
白内障の手術を済ませている
とは言え、寄る年波。
母にはっきり見えている
筈がないのです。
一番心配なのが
わたしの目の届かない
夜中のトイレ。
これが
ほんとうに頭痛の種です。
寝ぼけた頭で
ぼんやりした目で
明かりも点けないで行くトイレ。
わたしだって
寝ずの番は嫌だし
母にその気がなければ
手の打ちようがない。
どうしようもないのです。
「起きたら
ちゃんと明かりを点けてね!
転んだら寝た切りだからね!
立つ時はつかまって!
歩く時もつかまって!
つまずいたら寝たきりだよ!」
まるで子供扱い。
母には申し訳ないけれど
わたしは
叫び続けるしかないのです。
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