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八ヶ岳

それは
わたしの心の山。

96a28d18.jpeg
 八ケ岳
  それは心の山






「もう、登れないのでしょうね」
母が時々言います。


山梨県の南の外れで生まれた
母は

北の外れ
八ヶ岳の麓に嫁いで来ました。

来た時からの夢のひとつは
八ヶ岳に登ること。

だけどこの夢

99歳になった今日の日まで
まだ

一度も叶えられたことが
ありません。

母は
それが心残りだというのです。




テレビで観たコマーシャルに

初老の男が

老母を背負って
お宮の階段を登って行く

というのがありました。

「親孝行って、そんなもんかよ!」

と、若かったわたしは
そんな気持ちで観ていました。

だけど今は

その「わざとらしさ」は
別にして

コマーシャルを提供していた

その方の気持ちが
よく分かる気がするのです。

できることなら
わたしも

母を背負って
八ヶ岳に登りたい。

そう思うこの頃なのです。

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10月の中旬

わたしは
白馬八方池に登りました。

 



ゴンドラを乗り継ぐこと3回。

ヒーヒーハーハー
喘ぎながら登ること1時間半。

やっと、八方池に着きました。

高嶺を目指して粛々と・・・


 青空と山と池と紅葉
  そして湧き上がる雲








青空と山と池と紅葉
湧き上がる雲

その絶妙なバランスが
なんとも言えずきれい。

 

胸突き八丁乗り越えてホッ!!







そんな中
延々と尾根に続く人の列

苦しさに喘ぎながらも
粛々と

みんな、高嶺を目指して
登り続けておりました。

尾根を登る人、人、人・・・
 高嶺を目指して・・・






その姿に

わたしはなぜか
人生を考えてしまったのです。

「文化祭に行きたいって
お母さんが言ってるよ。

もう、最後だと思うから
みんなの発表見たいんだって!」

瑠璃がメールで言って来ました。

町の文化祭には
母も

ほんとに永いこと
参加してきました。

f0fe4119.jpeg

 庭で詩舞を舞う
  84歳の母です






民謡やマンドリン、詩吟や詩舞
写真や・・・・

母はほんと

ありとあらゆる部門に
参加してきました。



ここ何年かは出演を諦め

付き添いのいない時は
行くことさえも諦めています。

元気だ、とは言っても

やっぱり
人様のご厄介になるからです。

「だけど、今年は特別な年。

白寿を迎えた自分の姿を
みんなに見てもらいたい。

懐かしい仲間の発表も
見てみたい」

母がそう言っていると
いうのです。

そして

メールの最後に瑠璃が
「さらっ」と付け加えておりました。

「私は駄目、ついてけない。

オーストラリアへ行ってるから
ついてけないよ!」
って。

分ります?
問題はこの部分です。

言い出しっぺの瑠璃は
自分はついてかないと

初めっから降りているのです。

分るでしょ!

これこそ
わたし達の親孝行の仕方

決して
自己犠牲的ではないのです。

そしてわたしは・・・

「自分が行かないんなら
知らせてなんか来るなよ」

と、そう思いながらも
仕方なく

行ってくれそうなだれ彼に
当たったのです。

そして結局

東京に住む長女が
「一難」を排し

付き添ってくれる事に
なったのです。

そして母は

「たくさん
生んでおいてよかったわ」

と、会う人毎にそう言って
自分の幸せに感謝したのです。



そうなんです。

親孝行は
やれる人がやる。

やれる人がいない時はそう
母に諦めてもらうしかない。

これが
わたし達の親孝行の仕方です。

真正四女・瑠璃は

自称四女の登場で
五女に格下げになりました。

だけど

それにもめげず
親孝行に励みます。

毎日電話をかけては
厭きもせず

近所や町の動向や

知人や親戚の消息を
聞きまくります。

あれはどうした?
これはどうした?

あれはどうなった?
これはどうなった?

あの人はどうした?
この人はどうした?

次々と聞きまくります。

たぶん
本当は興味もなく

聞き厭きてもいるのだろうけれど
ともかく聞き続けます。

瑠璃は

母の人や物事への興味や関心を
喚起しているのです。



そのおかげで母は

瑠璃の「地獄の聴聞攻め」に
耐えようと

教え子達との
電話にいそしみ

訪ねて来る人たちとの会話に
精を出すのです。

そのおかげで

母は
世間への関心を失うこともなく

日々忙しく
過しているのです。

自称四女・遼子さんは

県内外をまたにかけ
「命の教育」をしています。

講演は天下一品、引く手あまた

硬軟相混ぜ
脅しと褒めとを使い分け

大人も子供も老人も
惹きつけます。

遼子さんは母と同じ県内に

しかも
車で30分の同じ市内に
住んでいます。

遼子さんと母の間に
血縁はありません。

母が95歳のとき
出会ったのが縁なのです。

遼子さんは年齢不詳

だけどたぶん
3女と真正四女と間

「だから、わたしが四女なの」

と、遼子さんは公言しています。

遼子さんは母が好き

母も遼子さんがだ~い好き
とっても頼りにしています。

遼子さんの
母を思ってくれる気持は姉妹一。

忙しい講演の合間合間に

料理を作って来てくれたり
友達を連れて来てくれたり
講演に引っ張り出してくれたり

話す時には手を握り

母の耳に口を寄せて
話してくれたり

実の子もしないような
親身の心遣いを
してくれるのです。

母の年令では
子供なんて増えないのが常識。

それなのに

遼子さんのお陰で増えました。
母は本当に幸せ者なのです。

396ce67b.jpeg
 遼子さんは
  樹齢350年の巨木の家の女主人







遼子さんは
何百年も続く旧家の女主人

庭に樹齢350年の
桧の巨木がある家を

独りで守っているのです。

そんな
遼子さんだからこそ

母に大きな愛を
くれるのでしょう。

三女・芽衣子は

母に

毎日「デジメール」を
書き送ります。

それこそ毎日です。

料理の話や花いじりの話

裁縫の話やフラダンスの話

旅行の話や政治の話

子供の話や夫の話

一族の動向や・・・

ともかく

日々の出来事や情報を
写真つきで

次々
書き送っているのです。

そして

「それに一行以上
コメントを書いて頂戴」

と、母に命じているのです。



母はこのデジメールで
一族の日々を知り

心の安らぎを
得ているのです。

そしてまた

思考や読み書きの衰えに
ブレーキをかけてもいるのです。

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