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わたしも同じですが

人間年を取ると
気短になります。

実年時代のような
寛容さが無くなってきます。

母が今回入院する
1年ほど前の話です。



ある朝

わたしは母と妻と3人で
食事をしていました。



「かっらいなあ!!!」
母が突然、叫びました。

母を見ると
それこそ悪鬼の形相

目を吊り上げ、舌を突き出し
顔をしかめています。

実はこの朝、初物の
ナスやピーマン、シシトウが採れ

この初物で
妻が

母の好物の茄子味噌を
作ってくれたのです。

喜んだ母はこの茄子味噌を
熱々の白いご飯にのせ

「美味しい、美味しい
私は茄子味噌が1番好き!!!」

とか何とか言いながら
いい気分で食べていたのです。

その挙句の
「かっらいなあ!!!」なのです。

「かっらいなあ!
晴子ちゃん!

どうして
こんなに唐辛子を入れたの!

ちゃんと
混ぜなかったんじゃないの?!

それより水、水
お水を頂戴」

っと、母は悪鬼のまま
詰問しながら妻に水を頼みました。

それで妻は

入れかけていた
お茶を入れるのを止め

水を持って来ました。

すると母は
お茶の方を取り上げたのです。

「お母さん!
そっちはお茶だよ、お茶。

水はこっちだよ!」

っとわたしが言うのに
聞こえているのかいないのか

母は
強情にもお茶を飲んだのです。

挙句

「あっつい!
あっついじゃないの!晴れ子ちゃん!!!」

と、母は
折角少し和らいで来ていた形相を

再び悪鬼に戻して
叫びました。

「だから、言ったでしょう!
そっちはお茶だって。

自業自得だよ、まったく」

と、わたしが
言ったのですが

母は顔をしかめたまま
馬耳東風

そっぽを向いて
舌を出し続けています。

「言いてぇさんぼうなんだから
参っちゃうよ、まったく」

っと、わたしは妻と
目を見合わせたのです。
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山梨には
『いいてぇさんぼう』という
 
わがまま勝手を言うことを指す
方言があります。
 
入院する前の母には
 
この「いいてぇさんぼう」が
時々顔を出しました。
 
自制的だった
母はどこへ行ったのやら
 
母は昔と違って他人への
気遣いが少なくなりました。
 
でも考えてみれば
それも当然。
 
母は耳も駄目、目も駄目
 
手も足も鼻も駄目。
 
おまけに
 
夜昼ない10分置きのトイレ通いを
強いられているんです。
 
気遣いなんかしていられないのも
当然だとは思います。
母が今回入院する前の
ある日のことです。

何気なく母の顔を見ると

眉毛が細い線で
何本も引かれていました。

母の手にはボールペンが・・・。



「何でそんな事すんのよ!?
それ、ボールペンじゃない!」

とわたしが聞くと
母がすまして答えました。

「たまには変ったことを
してみたかったんだもの」って。

母が変った事をしてみたいのは
分かるけれど

変り過ぎる事をやられると
やっぱり

ちょっと
ドッキリするわたしです。
今回の入院の
ちょっと前の母。
 
隣に座っている母を
何気なく見ると
 
細長く折りたたんだ新聞紙を
首に巻いていました。
 
「どうしてそんな事すんのよ!?」
 
とわたしが聞くと
母がすまして答えました。
 
「だって
ちょっと寒かったんだもの」って。
 
 
 
母が座った椅子の肘掛けには
ちゃんと襟巻がかかっていました。
 
だけど年を取ると
意外なほど視野が狭くなるものです。
 
母にはもう
 
自分の椅子に掛けられた
襟巻が目に入らなかったのです。
 
それに

足元が覚
束なくなっている母は
 
寒くてもかけるものを
持ちに行くのはもう面倒
 
かと言って

仕事しているわたしに頼むのも
気が引ける。
 
母は考え抜いたあげくに
 
側にあった新聞紙を首に巻くことを
思いついたのだと思います。
 
でもね

わたしは
そう理解したのだけれど
 
愛情深くもなく
洞察力も持たない人が

新聞を首に巻いた母だけ見れば
誰だって
 
『呆けた!!!』って思
い込むのは

当然なのかも知れません。
 
だけど
 
一見呆けたように見える
母みたいなお年寄りの行為にも
 
ちゃんと
理屈があるんだってことを

皆さんには
特にわたしのたちには

ぜひ
分かっていて欲しいのです。
解る分かる!!

わかるよ、藤井さん。

わたしも
老いもがく母と

この10年
付き合っているのです。

でも、今
104歳間近の母を見ていると

『老いを素直に受けいる』
日なんて

いつになったって
絶対来ないように思えるんですよ。

ふてくされて
諦める日は来るかもしれないけれど

いつまで経ったって
納得できる日なんて

絶対来ないと思うんですよ
藤井さん!
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