[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「私の記念館を建てたい!」
と、白寿を超えてすぐ
母が言い出しました。
「小さくてもいいから
家を建て
今までに出した
自分史や写真誌を飾りたい。
自分が使った
楽器や写真機も飾りたい。
ライフワークの
『愛育関係の資料』も飾りたい。
そこに
ちょっとした応接セットをおいて
お茶でも飲みながら
みんなに見てもらいたい。
私がどんな人間だったのか
みんなに分っていて欲しいのよ。
私がいなくなった後も
思い出しても欲しいのよ」
そう、言い出したのです。
「またまた
とんでもないことを言い出して!」
そう思ったわたしは
のらりくらり
逃げ回ったのです。
「お母さん!
そんな物を作ったって
誰が見るのよ、お母さん!
見るわけ無いじゃない!
どうしても作りたいのかどうか
僕が次に来る時までに
よくよく考え直してみてよ!」
そして、次に来た時
わたしは言ったのです。
「ええっ?どうしても?
どうしても作りたいの?!
それなら分ったよ。
何を飾りたいのか
ともかく書き出しておいてよ!
僕が次に来る時までに
まとめておいてよね!」
そして、次の次に来た時
わたしは言ったのです。
「そっ、やっぱり作りたいの!
まとめてくれたのが
ちょっと分りにくいから
もうちょっと
具体的に書き直しておいてよ!
次来た時、聞くからさ」
次の次の次来た時
わたしは言ったのです。
「そっ、詳しく書いてくれちゃったの。
じゃあ、どういう風にやれるか
後で考えてみるね!」
とか何とか
話が出る度わたしはそう言って
その内母が諦めるだろうと
のらりくらり逃げ回って
いたのです。
本音を言えば、わたしは面倒
そんな物は作りたくなかったのです。
作るとなれば結局
わたしがやらなければならなくなる。
わたしには
それが分っていたのです。