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石庭で有名な竜安寺。
昼時だったので
見学より先に
境内にある
湯豆腐店に入りました。
ここでも玄関で
しばらく待たされましたが
これが
京都の仕来たりなのかと
大分慣れてきていた
わたしは
余り腹が立ちませんでした。
中に通されると
部屋にはもう先客が何組も。
雪見障子の向こうには
よく手入れされた庭が広がり
空調の効いた部屋には
セミの鳴き声が
気持ちよく聞こえていました。
ところが、それは
突然始まったのです。
湯豆腐の鍋が運ばれて来て
「さあ、食べよう!」
と、箸を取り上げた時のこと。
裏の方から
『チェーンソー』の唸り声が
ウヲーンと
飛び込んで来たのです。
『何でだ?どうしてだ?
こんな食事時に!』
と、いくら考えていても
唸りは一向に静まりません。
「あのチェーンソーの音
竜安寺で木でも切ってるの?」
と、わたしは堪りかねて
仲居さんに聞きました。
「すいませんねえ。
うちのトイレを
修理しているんですよ」
と言うのが、その返事。
『なら、時間を変えて
仕事してもらってよ。
お客は竜安寺の
自然と静寂の中で
食事したくて
来てんだからさあ!』
と、言おうとした時
横から次女が袖を引いたので
わたしは言葉を
ぐっと飲み込みました。
だけど、豆腐を口に運ぶたび
『おもてなしの心って
京都の
専売特許じゃなかったの?』
とまた、嫌味な言葉が
わたしの
喉の奥に
湧き上がって来たのです。