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「どうして、こんな暗い家になっちゃったのよ!
ゲホゲホ、ゴホゴホ」
「一緒にご飯を食べていたって
だれひとり話をしない。
何で、私までしゃべっちゃいけないのよ!!!
ゼイゼイ、ゲホゴホ」
「3人いたって
みんながそっぽを向いて食べている。
どうしてこんな寂しい家になっちゃったの!
ゲホゲホ、ゼイゼイ」
「へ~え!
兄ちゃんたちゃ富山でも、そっぽ向いて食べてるの!
ゼイゼイ、ゲホゴホ」
夕ご飯の最中
母がそう言って、突然怒り出したのです。
この時の母は
一週間前にひいた風邪をこじらせていました。
鼻は出るし、咳は出るし
痰は絡むし、大変な状態。
それを知ったわたし達夫婦は、看病のため
実家に飛び帰っていたのです。
母は一人暮らし。
当然ながら
いつも、一人で食事をしています。
だからこの時、風邪は重かったけれど
折角側にいるのだからと
妻と三人で食卓に向かっていたのです。
母一人だけ、ベッドで食べさせるのは
可哀想だったからです。
でも、誤嚥が進んでいる上に
風邪を引いた母の食事は大変。
一口食べては「ゴホゴホ」
ちょっとしゃべっては「ゲホゲホ」。
風邪と誤嚥が重なり合って
間断なく咳き込むのです。
咳き込んだ後の母は「ゼイゼイハアハア」
もう息も絶え絶え
赤く充血して涙の浮かんだ目を固く閉じ
苦虫を噛み潰した悪鬼の形相
その苦しそうな事と言ったらありません。
そんな母を
孝行息子のわたしは見ていられません。
だからわたしは
母がしゃべり出すとそのたんび
口に指を当てて制したのです。
しゃべれば
「ゲホゲホ、ゴホゴホ、ゼイゼイハアハア」
だから
しゃべらす訳には行かなかったのです。
それに、本音を言えばです。
咳き込む母との食事は
わたし達にとったって大変なこと。
唾が飛ばないか、痰が飛ばないか
ご飯粒が飛ばないか
気が気でなかったのです。
それでわたしは
自分の皿を母から出来るだけ遠ざけて置き
背中を半ば母に向け食事をしていたのです。
わたしの向かいに座っていた妻だって
同じ気持ち
同じことをしたのです。
そんな食事が何日も続いた夕ご飯の最中です
母が突然怒り出したのは。
考えてみりゃあ
母が怒り出すのももっともな図柄です。
自分の左右に座った息子と嫁は互いに背を向け合い
自分にだって背を向けている。
お互い目も合わさず、話もしない
自分にだって話しかけもしない。
そんな雰囲気を何とかしようと話し出すたんび
息子に厳しい顔で止められる。
そんな食事が度重なって
母はとうとう怒り出してしまったのです。
だけど、最初の内は
母にだって分っていた筈なんです
しゃべるのを止められた理由。
初めは母だって
「ニヤッ」っと笑ってうなずいていたのです。
それに
わたし達が母に背中を向けている理由だって
ちょっと考えれば分ること。
自分の皿に
咳と一緒に他人の唾やご飯粒が
飛び込むのは誰だって嫌なんです。
母だって、同じことをわたしがやれば
嫌な筈なんです。
もちろん、わたしと妻とは
話だってしていました。
だけど、話に母を巻き込んで
咳をさせるのは可哀想
そう思って、わたしたちは
背を向けたまま話をしていたのです。
耳の遠い母には、それが
聞こえなかっただけの話なのです。
あ~あ!
一体どうすりゃあ良かったのか。
わたしは妻とふたり、ため息をついたのです。
ゲホゲホ、ゴホゴホ」
「一緒にご飯を食べていたって
だれひとり話をしない。
何で、私までしゃべっちゃいけないのよ!!!
ゼイゼイ、ゲホゴホ」
「3人いたって
みんながそっぽを向いて食べている。
どうしてこんな寂しい家になっちゃったの!
ゲホゲホ、ゼイゼイ」
「へ~え!
兄ちゃんたちゃ富山でも、そっぽ向いて食べてるの!
ゼイゼイ、ゲホゴホ」
夕ご飯の最中
母がそう言って、突然怒り出したのです。
この時の母は
一週間前にひいた風邪をこじらせていました。
鼻は出るし、咳は出るし
痰は絡むし、大変な状態。
それを知ったわたし達夫婦は、看病のため
実家に飛び帰っていたのです。
母は一人暮らし。
当然ながら
いつも、一人で食事をしています。
だからこの時、風邪は重かったけれど
折角側にいるのだからと
妻と三人で食卓に向かっていたのです。
母一人だけ、ベッドで食べさせるのは
可哀想だったからです。
でも、誤嚥が進んでいる上に
風邪を引いた母の食事は大変。
一口食べては「ゴホゴホ」
ちょっとしゃべっては「ゲホゲホ」。
風邪と誤嚥が重なり合って
間断なく咳き込むのです。
咳き込んだ後の母は「ゼイゼイハアハア」
もう息も絶え絶え
赤く充血して涙の浮かんだ目を固く閉じ
苦虫を噛み潰した悪鬼の形相
その苦しそうな事と言ったらありません。
そんな母を
孝行息子のわたしは見ていられません。
だからわたしは
母がしゃべり出すとそのたんび
口に指を当てて制したのです。
しゃべれば
「ゲホゲホ、ゴホゴホ、ゼイゼイハアハア」
だから
しゃべらす訳には行かなかったのです。
それに、本音を言えばです。
咳き込む母との食事は
わたし達にとったって大変なこと。
唾が飛ばないか、痰が飛ばないか
ご飯粒が飛ばないか
気が気でなかったのです。
それでわたしは
自分の皿を母から出来るだけ遠ざけて置き
背中を半ば母に向け食事をしていたのです。
わたしの向かいに座っていた妻だって
同じ気持ち
同じことをしたのです。
そんな食事が何日も続いた夕ご飯の最中です
母が突然怒り出したのは。
考えてみりゃあ
母が怒り出すのももっともな図柄です。
自分の左右に座った息子と嫁は互いに背を向け合い
自分にだって背を向けている。
お互い目も合わさず、話もしない
自分にだって話しかけもしない。
そんな雰囲気を何とかしようと話し出すたんび
息子に厳しい顔で止められる。
そんな食事が度重なって
母はとうとう怒り出してしまったのです。
だけど、最初の内は
母にだって分っていた筈なんです
しゃべるのを止められた理由。
初めは母だって
「ニヤッ」っと笑ってうなずいていたのです。
それに
わたし達が母に背中を向けている理由だって
ちょっと考えれば分ること。
自分の皿に
咳と一緒に他人の唾やご飯粒が
飛び込むのは誰だって嫌なんです。
母だって、同じことをわたしがやれば
嫌な筈なんです。
もちろん、わたしと妻とは
話だってしていました。
だけど、話に母を巻き込んで
咳をさせるのは可哀想
そう思って、わたしたちは
背を向けたまま話をしていたのです。
耳の遠い母には、それが
聞こえなかっただけの話なのです。
あ~あ!
一体どうすりゃあ良かったのか。
わたしは妻とふたり、ため息をついたのです。
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