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母の耳が聞こえにくくなって・・・
新聞やテレビが駄目になって・・・
 
出歩きが難しくなって・・・
会話が難しくなって・・・
 
母の笑顔が少なくなって・・・
 
わたしはもちろん
妻も姉妹も困惑しています。
 
それで皆、様々な提案をしたのです。
 
「お母様!
 
それじゃあ、今流行の
算数の問題集でも解いてみますかねえ。
 
それとも、ぬり絵をしてみるとか・・・」
 
何か熱中できる物をと
妻が提案したのです。
 
だけど
母は笑顔も見せずに言いました。
 
「もう、そういうことは面倒
疲れるばっかりなのよ」
 
母はにべも無く断ったのです。
 
「お母さん!
 
ピアノのとこまで行くのが大変でしょう。
これだったら、炬燵の上で弾けるわよ」
 
真正4女が小型の電子ピアノを
買い込んで来ました。
 
自動伴奏できる優れものです。
 
だけど、母は1、2度弾いただけで
止めてしまいました。
 
「だって、鍵盤がピアノより小さくて
運指出来ないのよ。
 
それにね、スイッチが多すぎて
どこを触ればいいのか分らないのよ」
 
そう言って、一向に弾かなかったのです。
 
「お母さん!
これならどう、運指に関係ないから」
 
諦め切れない真正4女が
今度は木琴を持ち込んで来ました。
 
だけど、母が木琴に触ったのは
持ち込んだその時だけ。
 
やっぱり使ってくれなかったのです。
 
「お母さん!
 
お母さんはさあ、漢字が得意だから
この本で実力試してみない?」
 
楽器が駄目だと知った3女が
 
「読めそうで読めない間違いやすい漢字」を
持ち込んで来ました。
 
今、大売れの出口宗和さんの漢字本。
 
誤読で有名な首相と競わせ
自尊心をくすぐる作戦です。
 
だけど、読んでチェックを入れたのは
10数ページだけ。
 
これも本棚に収まってしまいました。
 
 「お母さん!
 
絵手紙やってみない?
これって、今凄く流行っているのよ。
 
上手いも下手もないの
感じたままに描けばいいんだから」
 
絵手紙を何十年もやっている次女が
道具一式持ち込んで来ました。
 
だけど母は、次女と一緒に桃の絵を
たった1枚描いただけ。
 
一式お蔵入りになりました。
 
子の心を知ってか知らずか
今の母はあくまで素っ気ないないのです。
 
だけど・・・
考えてみれば当然のこと。
 
皆が提案したのは
どれもこれも一人ですること。
 
母が求めているのは、人との交流なのにです。

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