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「ここはもう、ゴーストタウン。
昔は本当に繁盛しててね
応対に困ったくらいなのよ。
ああいう日を経験しているから
今が本当につらいの。
こんな日が来るなんて
夢にも思わなかったわ」
わたしが
縫製を頼んでいる洋品店の
80近い奥さんとの会話は
毎度、この
嘆き節から始まります。
それから、奥さんは毎度
気を取り直すように
言うのです。
「でもね、わたしは
女だからまだいいの。
洋服の直しだって
頼まれるし
それより何より
外に出る機会があるのよ。
民舞もあるし、カラオケもある
仲間がいるのよ。
それに比べたら
男なんて駄目駄目
救いようがないの!
仕事がなくなったら
もうどうにもなんない!
家ん中に籠っちゃって
ご飯が出来るのを、ただ
待っているだけ。
『たまには外へ出たら』って
言うんだけどね。
横のつながりがないから
出て行くとこがないのよ。
男なんて、いくら
おっきな顔、していてもね
いざとなったら
さっぱり意気地がないんだわ」
と、奥さんは
ご主人のいる奥を
気にする様子も無く言い放つのです。
奥さんの話を聞きながら
わたしは
10年後の自分の姿を
毎度
想像しているのです。
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