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長男・太郎

わたしは
母に過干渉します。

母のやることなすこと
1から10まで口を出します。

ご飯粒がついているだの
おかずをこぼしているだの

髪が乱れているだの
口紅がずれているだの

補聴器を付けていないだの
眼鏡を置き忘れているだの

その服が似合っているだの
いないだの

そんなことやらなくていいだの
悪いだの

自分のことを棚にあげて
いいたい放題、注意し放題。

おまけに

あれやっちゃあ危ない
これやっちゃあ危ない

わたしは心配のあまり
母の行動を制限しまくります。



「うるさい!

太郎の言うことなんか
聞いていられるもんですか!」

たぶん母は腹の中で
怒鳴り返していると思います。

だけど
それこそわたしの狙い!!

いらいらさせられた母は
アドレナリン沸々!

母の生命力は嫌でも活性化
復活するのです。

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次女・眸は

気が向いた時

今、流行の
「絵手紙」を母に出します。

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そして、ほんのたまに

ふらっと、予告もなしに
母を訪ねてきます。

後は何週間でも

時によっては
何ヶ月でも音信不通です。

どうしているのかしら
眸は。

病気でもしているのかしら
眸は。

事故にでも遭ったのかしら
眸は。

生きているんでしょうね
眸は。

母の心配・不安は
いやが上にも膨らみます。

眸の病気のこと
みんなで隠しているのかも

事故のこと
みんなで隠しているのかも

だれそれは知っているかも
しれない。

かれそれはほんとの事をいうかも
しれない。

想像・夢想は
あちこちに飛び火して

母はそこら中に
電話をかけまくります。

本人に
直接かければいいものを

わざわざ本人の周りで
調査活動するのです。

だけど
母はそうやって

脳味噌の若さを
保っているのです。

親孝行の仕方はさまざま

子供達には

それぞれ
決まったやり方があります。

長女・翔子は
趣味で小説を書いています。

だから毎回
お涙頂戴話のプレゼント。

たまにかけてくる母への電話で
暗い口調で話します。



認知症になった翔子自身が

あてどなく放浪する夢をみた
話だとか

飼い犬が老衰で

お漏らしばかりして困っている
話だとか

迷い亀を救おうとして

翔子自身が川にはまった
話だとか

近所が火事で

はらはらしちゃった
話だとか

「自分が
いかにつらい目にあったか」

フィクションを
思い切り膨らませて話します。

「ほんとに不幸なんだね
翔子は!

相談に乗れるのは
やっぱり私しかいない!

翔子の為に

何としてでも
長生きしなけりゃあ!」

と、話を聞くたび

母は
自分の生きる目的を再確認し

気持を
奮い立たせているのです。

母には

1男4女
5人の子供がいます。

身勝手な子供たちだった
と、言えばいいのか

若かった父母が寛大だった
と、言えばいいのか

子供たちは
みんな外へ出てしまい

実家から遠く離れて
暮らしています。

それでも

子供たちはひとり残らず
親思い

5人が5様のやり方で
孝行に励んでいます。

だけど、それは決して
滅私孝行ではありません。

「無理せず、できることをする」

これが

わたし達の
親孝行の仕方です。

「白寿を祝う会」

お開きに
母と子供代表が挨拶をしました。


母の挨拶

「皆さん!

今日は忙しいところを

遠くから集まってくれて
ありがとう。

みんなに会えて
本当にうれしかった。

いくら
葬式に来てくれたって

私には
分からないんだからね。

今日のような日に
来てくれることが

最高にうれしいの。

私は今日で満99歳
白寿です。

ご覧の通り

元気にやっていますから
どうか安心していて下さい。

もちろん

目も衰え、足も衰え
頭も衰えてきてはいます。

だけど、このような日を

人並み以上に健康で
楽しく迎えられました。

これはひとえに皆さんのお陰です。
本当にありがとう。

これからもどうか気楽に

私が生きているうちに
会いに来て下さい」



子供代表の挨拶

「いつも母がお世話になり
本当にありがとうございます。

おかげさまで母は

人様より長生きをさせて頂いて
幸せに暮らしております。



近くに
同じような方がいないので

孤独感や不安感の中での
生活であることも

また事実です。

そういう生活の中で

母は皆様から
年賀状や手紙や電話などで

励ましを
頂いております。

また
わざわざお出で頂いて

共に過す楽しいひと時をも
頂いてもおります。

それがどんなに
母を勇気付けていることか

お礼の申し上げようも
ありません。

本当に感謝しております。

これからも

どうかよろしく
お願いいたします。

今日は
ありがとうございました」

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