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「気味が悪くって・・・」
母が電話で言って来ました。
「どうしたの?」
またトラブルか!
と、嫌な予感でドキっとしながら
わたしは聞き返しました。
母によれば、昨日のこと
近所のTさんと
お茶を飲んでいると
男が突然
上がって来たというのです。
男は見も知らぬ人だけれど
妙に馴れ馴れしい。
だから
母は「どなたでしたっけ?」とも
「何か御用ですか?」とも聞けません。
仕方なし
Tさんにお茶を入れてもらって
しばらく世間話をしたのです。
だけど
男が誰だったのかは
最後まで分らずじまい。
「あの人、だれだっけ?」
男が帰った後で
母はTさんに聞いたのだけれど
やっぱり分らない。
実家に入りびたりの
Tさんでさえ
会ったことのない人だった
のです。
「じゃあ、あなた・・・
何で
あんなに親しそうに話したのよ」
母がTさんをなじりました。
「だって・・・
お母さんの知り合いだ
と、思ったんだもの」
Tさんも負けじと
言い返したんだそうです。
まあ
そんなやり取りをいくらしても
分からないものは分らない。
それで母は
気味が悪くなって
電話をして来たのです。
「兄ちゃんなら
誰だか分ると思ってね」
母が不安そうな声で
言いました。
「そんなこと
僕に分る訳ないじゃない。
今度来た時聞くしかないさ。
大丈夫だよ。
ニコニコしてたんなら
悪い人じゃないさ」
その場にいなかったわたしは
そう言って安心させてやるしか
ありませんでした。
母の所へ来られる
大勢の方の中には
昨日今日
友達になった方もおられれば
数年に一度
忘れた頃に来られる方も
おられます。
そんな方達には
本当に申し訳ないこと
なのだけれど
母が顔を忘れてしまった方も
おられるのです。