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わたしが実家に帰ると
居間から
Wさんの
大きな声が聞こえて来ました。
「おらんとうの顔や名前
忘れてもらっちゃあ
困るじゃんけ!
おらんとうは
先生たちに
仲人してもらっとうじゃん!」
Wさんが大声で
繰り返し口説いています。
母が
Wさんご夫妻を見忘れたことを
嘆いているのです。
「お父さんも耳が遠くなって
困ったもんじゃん。
先生の言うことも聞かんで
自分だけ話すんだもの。
先生の話だって
ちったあ聞けし!」
奥さんが隣で
80歳をいくつか超えた
Wさんの袖を引いてたしなめます。
「でもね、わたしは本当に幸せ者。
こうやってみんな
いつまでも来てくれるんだもの」
見忘れたことを詫びながら
母もまた
感謝の言葉を繰り返しました。
Wさんは
桃源郷マラソンで有名な町の
桃農家のご主人。
母が今年満百になるのを
伝え聞いて
忙しい摘果の合間に
来てくれたのです。
ご夫妻は結婚して50年。
何だかんだ言いながら
毎年こうやって
遠方から訪ねて来てくれます。
母は本当に幸せ者
仲人冥利に
尽きるというものなのです。
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