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「お袋は
何とかこのまま
家で過ごさせてやろうって
そう思ってんのよ」
と、わたしが言うと
幼馴染みのトンちゃんが
ため息を1つついて言いました。
「そりゃあ、いいねえ。
何だかんだ言っても
もう、ちっとだもんね。
頑張れるだけ、頑張ってやれし。
俺んとこは、お袋
施設に入れちゃったからね。
あれで
良かったんかなあって
いっつも
心に引っかかってるのよ。
ほんとは、俺
物凄く後悔してる。
連れてく時、お袋が
テーブルにしがみ付いて
泣き叫んだんだ。
『ご無心だあ、お願いだあ』
ってね。
『いい子にするから
何とか
家に置いといてくりょう。
お勝手の隅っこでも
物置の端っこでもいいから
何とか
家に置いといてくりょう』
って、泣き叫んだんだ。
俺だって、何も
施設へなんか
入れたかあなかった。
だけど
入れなきゃ
孤立無援のこの俺が
潰れちまうとこだった。
でもね
今んなるとね
あれで良かったんかなあって
線香上げるたんび
あん時のお袋の姿
思い出すんだよ。
あれで良かったんかなあって」
いつもは無口なトンちゃんが
長々としゃべりました。
1人っ子のトンちゃんは
東京でついた仕事を
40いくつで辞めて帰郷
お母さんと2人、昔からの
古い家で暮らしていました。
もちろん、奥さんも
一緒に帰ったのだけれど
何故か
別棟を建てて、そこで1人
暮らしていました。
そして
トンちゃんは
孤軍奮闘した挙句
3年半
施設で暮らしたお母さんを
1昨年亡くしたのです。