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今日、母に見送られ
10日振りに富山に帰ってきました。
『見送り』と言えば
『出迎え三歩、見送り七歩』
と言う言葉があります。
出迎えよりも
見送る時に礼を尽くすのが
見送る時に礼を尽くすのが
もてなしの真髄だ、と言うのです。
母も、ちょっと前まで
戸口から100mの県道にまで出て
お客の姿が見えなくなるまで
見送っていました。
それは
わたしに対しても同じで
車が見えなくなるまで
見送っていてくれたのです。
そんな母の足元が覚束なくなって
見送りが石橋の所までになり
常口の上までになり
戸口までになり
そして今は
居間の椅子に座ったまま
サンルームのガラス越しに
見送るだけになりました。
だけどそこからは
去って行く車がよく見えません。
青垣に
見送り穴を開けてもらったのです。
それからのわたしは
見送り穴から見送っている母に
お別れのクラクションを
ちょっと長めに3回鳴らし
富山へと
出発するようになったのです。
「クラクションなんて
ご近所迷惑よ」
と、妻には文句を言われ
『霊柩車の出発みたいだな』
と、わたし自身も思うのですが
そんな文句も思いも
わたしは気に留めません。
わたしは
見送り穴から覗く
母の切ない思いに
ただただ応えて上げたくて
今日もクラクションを鳴らして
富山へと出発したのです。
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