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「転んだって私、怪我したことがないの」

母がいつも自慢します。

「上り端で転んだ時だってそう。

上手く転んだから
茶碗一つ壊さなかったわ」

「敷居につまずいた時だってそう。

ちょっと足が引っかかっただけ。
痛くも痒くもなかったわ」

「お勝手で踏み外した時だってそう。

起き上がるのに
ちょっと時間はかかったけれど

平気の平左
肘をちょっと擦りむいただけ」

「階段から落ちた時だって
・・・そう。

ほっぺたに
ちょっとあざが出来ただけ」

母の自慢話は延々続きます。

「そんななあ自慢にもならない!

もしものことがあったら
どうするの!!

老人は転んだら終わり
寝た切りになるんだからね。

そうなりゃあ長期入院。

ぼかあ
見舞いになんか行かないよ!」

母が自慢話をする度

わたしは
必死になって脅しまくります。



確かに母は
大怪我をしたことはありません。

毎日やってる体操のお陰だと
母もわたしも信じています。

だけど

だからと言って
慢心してもらっては困ります。

わたしは

転んで寝たきりになった方の話を
たくさん聞いています。

母には
そうなって欲しくないのです。

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ストーブが点かなくなって
一週間目。

仕事のけりを付けた
わたしは

実家へと急ぎました。

着くなり早速懸案チェック。

分かりましたよ、分かりました!!
原因が。

灯油タンクの
高さの微妙に違うキャップが
入れ替わっていました。

だから灯油が
供給出来なかったのです。

ヘルパーさんが

手際よくと思ってやった
2つのタンクの同時給油が

とんだ騒ぎを
引き起こしたのです。

近所の奥さんや
電気屋がいじった時

短時間点いたのにも
理由がありました。

ストーブというもの

揺するとキャップから
灯油が少しだけ漏れるのです。

それで
短時間だけ燃えたのです。



2つのストーブは
メーカーが同じです。

だからかどうか
キャップのねじは共通。

他の寸法は違っているのに
そこだけは同じ。

だから

キャップが入れ替わっても
付けられたのです。

だけどそれゆえ
こんなことが起こったのです。

消費者なんて
気まぐれな上にずぶの素人。

どんな使い方をするか
分かりません。

今回のように

プロの電気屋でも
発見できないような

想定外のうっかりミスも
してしまうのです。

メーカーたるもの

こんなことも起こりうるんだ
と、いうことを

ちょっと頭に入れて
ストーブを作るべきだ

と、思ったわたしです。

「居間のストーブが点かなくて・・・」

母が電話で言ってきました。

「さっき
ヘルパーさんに

灯油を
入れてもらったんだけどね。

今点けてみたら
2つとも点かないのよ。

何度もやっているのに
どうしても駄目」

そう、言うのです。

考えられない事があるもの。

2つある居間のストーブ
1つはファンヒーター

もう1つは
電池着火の石油ストーブです。

その2つが
同時に使えなくなるなんて

普通じゃあ考えられません。

それで

最初に思い浮かんだ原因が
粗悪灯油。

水でも混じってんじゃあないか
と、思ったのです。

だけど
石油高騰の折とは言え

給油業者は何十年もの付き合い
そんなことがあろう筈もない。

それで

近所の奥さんに
電話で点検を頼みました。

奥さんは機嫌よく来てくれて

いろいろ試した挙句
電池を交換してくれました。

だけど

「ちょっと点いただけで直ぐに消えた」
と、母からまた電話。

しかたなく

奥さんから給油業者に
電話で頼んでもらいました。

だけど
古い付き合いのその業者

「修理はやっていない」
と、そっけないない返事。

人情も薄くなったもんだ
と、愚痴りながら

今度は
わたしが電気屋に直接電話。

「そのメーカーは
扱っていないんですがね」

と、断りながらも渋々来てくれて

ファンヒーターだけ
着火を確認

金も受け取らずに
帰ってくれました。

だけど

「電気屋さんが帰ってしまうと
またまた消えた」

と、母からまたまた電話。

何が何やら原因が分かりません。

それでともかく
人を頼んで

キッチンのストーブを
居間に移してもらい

急場をしのぐ事にしたのです。

遠くに住んでいるということは
何とも不便なものです。

隔靴掻痒

思うに任せないことが
山程あるのです。

母の住む八ヶ岳高原は



マイナス6、7度にもなる
寒冷地です。

日本一、天気のいい所で

海抜も860mありますから
とにかく冷え込むのです。

だから暖房は

炬燵とエアコンだけでは
足りず

石油ファンヒーターも
併用しています。

そのお陰で

築後百数十年経つ

断熱材も入っていない
あばら家のわが家ですが

それなりに
寒さをしのげているのです。



だけどある時突然

「停電」の2文字が
わたしの脳裏に浮かんだのです。

もしも停電したらどうなる!
独り暮らしの母はどうなる!

真っ暗闇の中で
背を丸め

震えながらうずくまる
母の姿

そんな悲しい姿が
わたしの脳裏に浮かんだのです。



夜になれば

頼る人もいない
一人暮らしの母。

電話もかからず
電気毛布も使えず

寒さに凍えながら
一夜を明かすことになる母。

そう考えたわたしは

電気が不要な
石油ストーブも用意したのです。

ところが最近

母はそのつまみを
回せなくなりました。

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 このつまみが
  回せなくなりました





握力が落ちて
つまみを握る指が空回り

点火出来なくなったのです。

「先日までは回せたのに・・・」

そう言って訝しがる母ですが

つまみはもう
無理になったのです。

それで急遽
わたしが日曜大工に変身

つまみを
レバー式に改造したのです。

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 つまみをレバー式に改造






こんな簡単なことで
母は復活

自分でまた
着火出来る様になったのです。

母は時々

失敗のような
失敗でないような失敗をします。

要らない物を
買い込んだり溜め込んだり。

指輪やお金を仕舞い忘れたり。

だけど

それには
母なりの理屈があるのです。

買い込んだ大量の教育ビデオ

これは将来
孫やひ孫に観せたい物。

溜め込んだ大量の下着

これは娘たちや知人への
形見分け用。

仕舞い忘れた指輪やお金

これは盗まれないように
置き場所を変えてるうちに
忘れてしまった物。

先日のぼや騒ぎ

あれは皿を持ちに行くのが
面倒だったから。

そうなんです。

みんな母なりの

理屈があって
していることなのです。

だけど
そんなのを見つけた時

わたしは
ついつい言ってしまいます。

「教育ビデオなんて
孫やひ孫の誰が観るのよ!

しかも、そんな物

図書館で
いくらでも借りられるんだよ」

「他人の買った下着なんて
今時誰が着るのよ!

合わないって
捨てられるのが落ちなんだよ」

「隠し忘れの指輪や現金なんて
盗られたのと同じ!

泥棒に使ってもらった方が
まだまし」

「パックのフタはフタでしょ
皿じゃないでしょ!

面倒なのと火事と
どっちがいいの!!」

よせばいいのにわたしは
次々駄目だししてしまいます。

だけど

ここまで言われても
負けているような母ではありません。

強情といおうか、健気といおうか
自分の理屈で敢然と言い返して来ます。

それでも

最後には
言い負けるのですが

母が納得していないことは
見え見え。

目を硬く閉じ
口を大きく膨らませて不満顔。

それからしばらくして
歌うように言うのです。

「分っちゃいるけど止められない・・・」
って。



母には
母なりの理屈がある。

それは

駄目出ししているわたしにも
分っているのです。

「母の失敗」
と、わたしは言うけれど

それは失敗というより

母とわたしの
価値観の違いなのです。

それが分っていながら
言わでもの事を言って

母の夢や誇りを
打ち砕いてしまうわたしの不遜。

そういう事を
言ってしまう自分に

嫌気がさしている
わたしでもあるのです。

でも

「分っちゃいるけど言っちまう」
わたしなのです。

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