忍者ブログ
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
食堂にいるとね
いろんな会話が聞こえてくる。
 
どれもこれも、他人事じゃあない
身につまされる会話。
 
例えば、こんな会話さ。
 
食堂でよく顔を合わせる
娘さんとお母さんの会話だよ。
 
 
 
「お母さん!
ちょっとでも食べてくれない?」
 
「食欲無いの」
 
「前は食べてくれたじゃない。
 
せっかく作って来たんだもの
ちょっとでも食べてよ」
 
「・・・・
げほげほげほ」
 
「慌てなくていいからね
ゆっくりでいいからね」
 
「げほげほげほ」
 
「げほげほげほ
わたしゃ帰りたいよう。
 
帰って、みんなの洗濯
してやりたいよう」
 
「帰ったら頼むわね」
 
「食事も作ってやりたいよう」
 
「頼むわね。
 
足冷たくない?
大丈夫?」
 
「うん
私、帰りたいよう」
 
「だけどね、お母さん
 
明日、まるちゃんが来るからね
直接、お母さんを訪ねてくるからね
 
その時お母さんがいないと
心配するからね
 
だから今日は帰れないのよ
帰っちゃ駄目のよ」
 
「・・・・・」
 
「わかってくれた?おかあさん」
 
「・・・・・」
PR

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
今日は雨降り。
 
小荒間のコンビニで
牛乳プリンを買っていくと大好評。
 
おばあちゃんは食べている間中
「おいしい、美味しい」を連発。
 
おまけに
 
「兄ちゃんは料理が上手だから」
 
とプリンまで僕の功績
ぼかあ嬉しくなっちまった。
 
 
入所しているとね
食事には選択の余地が無いんだよ。
 
何十人
何百人が相手だからね
 
ひとりひとりの希望なんて
聞いちゃあいられないし
 
予算の都合だってあるよね。
 
だけど
もし僕が入所者だったらね
 
あてがわれたもの
ただ食べてるのは嫌だ。
 
犬や猫や豚やにわとりになったみたいで
ぼかあとても我慢できない。
 
やっぱり
 
「今日は何と何食うぞ」って
自分で決めたいよなあ。

 

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
おばあちゃんが入所している
一生園のスタッフは
 
何時でも、みんなが笑顔。
 
話しする時は
 
腰をかがめたり膝をついたり
入所者と目線を合わせ
 
笑顔で話します。
 
これは、僕に対してでも
おんなじで
 
遠くにいても目が合うと
目が合わないような遠くにいてでさえも
 
「こんにちは!
ご苦労さまです。
 
ありがとうございました。
お気を付けてお帰り下さい!」
 
って、明るく声掛けしてくれます。
 
この声掛けのおかげで僕は
毎日気持ちよくおばあちゃんを見舞え
 
気持ちよく
おばあちゃんを託すことが出来るのです。
わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
おばあちゃんと食堂にいると
 
入所者の所へ
ご家族や知人の方が訪ねて来て
 
「よく眠れる?」
「食事は美味しい?」
 
「なんか、欲しいものある?」
「なんか、困ってることある?」
「なんか、したいことある?」
 
なんて、誰もが
おんなじような質問をしています。
 
だけど
 
「よく眠れる?」
って聞かれたって
 
入所していれば誰だって
時間を持て余し
 
眠っているしかないんだよ。
 
「食事は美味しい?」
って聞かれたって
 
混ぜこぜのキザミ食じゃあ
味なんて分かるわけないんだよ。
 
「欲しいものある?」
「困っていることある?」
「したいことある?」
 
なんて聞かれたって
多分答えようがないんだよ。
 
今の僕だったら
 
「何にもいらないから
家で、みんなと一緒に暮らしたい!」

って、答えるんだけどね
 
入所者は多分
家族の事情が分かっていて
 
ほんとは言いたいその一言を
飲み込んでいるんじゃないかなあ。
 
他人はともかく
ぼかあ
 
最後まで
家族と一緒にいたいんだからね
 
そのことだきゃあみんな
覚えといてくれ!

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
一生園の昼時の食堂には
 
見舞客が入所者を連れて
次から次食事に来ます。
 
だけど残念ながら
どのグループを見ていても
 
一向に会話が弾んでいないんです。
 
話題が無いのが第一因
見舞客は何を話せばいいのか
 
分からないでいます。
 
「お母さん!
牛丼とカレーとどっちがいい?」
 
「うん」
 
「うんじゃなくて
カレーと牛丼とどっちがいいの?」
 
「うん」
 
「じゃ、ウドンにするか」
 
「うん」
 
「いつもお仕着せのご飯だもんえ
選べなくなっちゃったんだね」
 
「うん」
 
「お母さん!
うどんが来るまで肩揉んでやろうか?」
 
「うん」
 
「むかし
 
金鎚でたたいてって
よく言ってたじゃない」
 
「うん」
 
「むかし
 
トマトがたくさんなってたの
覚えてる?」
 
「うん」
 
「雲の向こうに、富士山見える?」
 
「うん」
 
こんな一方的な
脈絡もない会話でも
 
会話が続いているだけで
ほっとするんだよ、僕は。
<< 前のページ 次のページ >>
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]