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わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
「さあ、兄ちゃん眠りなさい。
 
眠ってると分かれば
声をかけないから。
 
たいへんだよ
二軒掛け持ちじゃあ。
 
朝早く出てきたんでしょ
さあ眠りなさい」
 
食事が終わって
眠そうにしてる僕を見て
 
おばあちゃんが言いました。
 
老いたりとは言えど
介護を受けてる身とは言えど
 
おばあちゃんは昔とおんなじ
気使いの人です。
 
 
 
末の妹・瑠璃から
メールが来ました。
 
「母上は気遣いのできる凄い人だ
とつくづく思います。
 
60を過ぎれば
自分のことが第一で
 
周りへの気遣いなんて
なかなか出来ないことなのに
 
100をいくつも過ぎて
 
お礼を言ったり我慢したり
たいした人ですね、お母さんは。
 
私も見習いたいと思います」
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わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
今日は一生園のお誕生会
介護士さん達が踊ったり歌ったり
 
その後いつもより早く
 
11時半には
お昼のお赤飯やお寿司が出ました。
 
お母さんはミキサー食だけれど
ちゃんと小豆色したお粥です。
 
お母さんに
「今日はお誕生会なんだね」というと
 
「弱ったなあ
自分の誕生日を忘れちゃって」
 
だってさ。
 
「忘れたっていいんだよ。
僕らが覚えてるから大丈夫だよ。
 
所で
お母さんの誕生日はいつなの?」
 
「え~とねえ~え~と
昭和・・・大正・・・昭和12年2月4日」
 
だってさ。
 
先日は言えたのに今日は駄目。
 
おばあちゃんは
 
線が繋がったり
切れたりしているけれど
 
まだまだ会話が成立しています。
 
 
 
メールを読んだ芽衣子から
メールが来ました。
 
「日によって
冴え具合がまったくちがうよね。
 
年令を113だって言うことが
多いけれど
 
お誕生日は今まで
間違えなかったんだけどね。
 
それにしても一生園じゃ
 
いろんな催しやってくれて
ありがたいわよね」

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。
 
わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてもらいたいのです。
 
 
 
お母さんと食堂にいると
10人ほどの
 
一族に囲まれたおばあちゃんが
車椅子で入ってきました。
 
みんなが席についたところで
隣に座った孫娘らしい娘さんが
 
「爪切ってあげるわね」っと
おばあちゃんの手を取りました。
 
だけど
切ろうとしたその瞬間
 
「痛いよ痛いよ、もういいったら!」
 
と、おばあちゃんが大声を上げたのです。
 
「イタタイタタ、痛いったら痛いよ!」
 
「どこが痛いの、教えてよ」
 
「教えない、絶対教えない!」
 
おばあちゃんの
どら声に驚いたひい孫娘は泣き出し
 
一家は総立ちでパニック状態。
 
「いらないよ!
いらないったらいらないよ!
 
わからないなあ、いらないったら!
帰りたい帰りたい!
 
やだよ、やだよ!」
 
おばあちゃんもパニック状態。
 
何がきっかけだったのかは
分からないけれど
 
おばあちゃんは
どら声を張り上げ続けます。
 
「あげてないじゃん、何にも」
と、娘さんがそう言っても
 
「いらないいらない、イタイイタイ」
が30分も続き
 
一家はとうとう諦め
車椅子を押して出ていきました。
 
せっかく会いに来たのに
辛いよねえ、こう言うのって。
 
「よかったあ、お母さんでなくて!」
ついそう思ってしまった僕なのです。

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。

わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてほしいのです。
 
 

「僕、そろそろ帰るよ」
 
「もう帰るの!?」
 
「また明日来るからね」
 
「そして私を連れて帰るの!?」
 
「・・・・・・いや
連れては帰れないんだけどね。
 
また明日来るからね」
 
おばあちゃんが、入園以来初めて
「連れて帰るの?」って聞きました。
 
僕は切なかったけれど
動揺を隠して
 
「病気が治ったらね」
と言って、帰って来ました。

わたしは時々甥姪に
母との会話をメールします。

わたしたちも行く道、通る道
 
年取るってことを
知っといてほしいのです。
 


「鼻の下の左の真ん中」
とおばあちゃんが言いました。
 
「痒いの?」
 
「いえ、あんたの」
 
「え、何か付いてるの?」
と、僕は鼻の下を何度も擦りました。
 
「ん、どう?」と、目顔で聞くと
 
「まだダメ」と、おばあちゃんも
首を振って答えました。
 
で、洗面所に行って鏡で見ると
 
何と僕の口髭が一本
鼻の穴に入っていたのです。
 
目が見えない見えないと言いながら
見るとこは見ているおばあちゃんです。
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